老人保健施設などでは、認知症の患者に対し「認知症短期集中リハビリ」が行われています。
このリハビリは3年前、介護保険制度に試行的に導入され、今春から実施機関や対象者が拡大されました。
リハビリの結果、問題となる行動が軽減されて在宅復帰ができるようになったりするようです。
最近、老人保健施設のリハビリ場所では、作業療法士がテーブルを前に、認知症の入所者を相手に楽しそうに会話をする光景が目に付きます。
「今朝、雷鳴ってたね。知ってる?」「知っとる。3回鳴った」
「じゃあ、頭の体操、してみましょうか。この紙に1から30までの数が書いてあります。順番にタッチして下さい」。清実さんの呼びかけに、鈴木さんは「1、2」と数字を指さし始めたりします。
続いて、ひらがなのパズル。
簡単には見つからず、眉間にしわを寄せることもあったが、7分ほどで最後の数字までたどり着きました。
「すごい。ずいぶん早くできるようになったね」。
作業療法士の言葉に、入所者はうれしそうな表情を浮かべます。
このリハビリでは作業療法士はときおり、「今何月でした?」「今日は何曜日?」などと問いかける。
「現実見当識訓練」と呼ばれるプログラムの一つです。
「短期集中リハビリ」は、医師や理学療法士、作業療法士らの専門職によって、利用者とマンツーマンで週2~3日、それぞれ20分以上行われます。
計算や絵カードを使った記憶訓練、手芸など、認知症に効果が期待できる訓練を利用者の状態に応じて組み合わせます。
リハビリは今春からは、軽度の認知症患者に限られていた対象者を中、重度にも拡大しました。
老健施設だけでなく、介護療養病床、通所リハビリ事業所でも実施できるようになりました。
リハビリ訓練の結果、4月の入所直後に中等度と判定されたある入所者の認知症は、7月には軽度に改善しました。
全国老人保健施設協会(全老健)が2007年度に行った効果検証では、認知症の程度や生活自立度に加え、暴言や介護拒否といった周辺症状も改善しました。
この春に報酬が1日60単位(1単位=約10円)から240単位になりました。
これにより、施設側もリハビリを提供するインセンティブが増えました。
ただ、リハビリを受けられるのは入所日から3か月以内となっています。
一度良くなったとしても、リハビリ期間を終えた後に悪化するケースも少なくないそうです。